2010年6月号 『不眠症状~快適な睡眠を確保するには~』
不眠症とは?

不眠症で悩んでいる人は日本人の5人に1人の割合だと言われています。特に中年以降になるとその割合は高くなってきます。
では、どういう症状が不眠症だと言われているのでしょうか?
不眠症とは睡眠時間の長さではなく、目覚めた時にだるさや、眠気があり、日常生活を行っていく上で支障をきたしてしまう程度によって判断されます。
ですから睡眠時間がたとえ長くても起きた時の状態がまだ眠かったり、だるさがあるようだと不眠といえるでしょう。逆に睡眠時間が短くても目覚めが爽快であれば不眠ということにはなりません。
つまり時間ではなく目覚めた時の不快感によって、判断されるということになります。 そうならないためには、どれだけ時間ではなく眠りの質を高めることができるのかが大切になってくるといえるでしょう。
不眠症の原因とは?
■1.身体の不調が原因
○咳や喘息、あるいは熱やかゆみなど体調を崩していることや身体的不快が原因によって起こる不眠です。また最近よく話題にされる突然呼吸がしばらく止まってしまう睡眠時無呼吸症候群なども挙げられます。
○これらの原因の不眠症はその病気を治療することが必要になってきます。
■2.環境変化が原因
○旅行で時差がある場所で眠れなくなったり、枕が変わって眠れなくなったり環境の変化が原因によって起きる不眠です。また暑さや騒音、明るさなどの影響で眠れなくなってしまう場合もあります。
■3.精神的ストレスが原因
○悩みやイライラ、極度の緊張から精神的にストレスがたまるなどの原因で眠れなくなってしまう不眠です。人間誰にもストレスは多かれ少なかれありますが、そのストレスが過剰になってしまうと不眠症になってしまいます。
■4.心の病気が原因
精神的ストレスが更に大きくなり、うつ病などの精神疾患が原因による不眠です。うつ病と不眠症は関係が深く、うつ病の症状の一つに不眠が挙げられます。この場合は心療内科などの専門医の治療を受けることが必要です。
■5.薬やアルコールが原因
薬の副作用やアルコール、カフェインの摂取が原因によって起きる不眠です。薬やアルコールは眠れなくなった時に飲む場合がありますが、薬やアルコールは慢性的になってくると次第に摂取量も多くなってしまい悪循環となってしまいます。

不眠症のタイプとは?
1.<入眠障害タイプ>
寝つきが悪くなかなか眠れないタイプです。但し、一旦眠ってしまうと朝まで眠れるタイプで不眠症では一番多いタイプといえます。
2.<熟眠障害タイプ>
眠りが浅く、直ぐに目が覚めてしまうタイプです。老人の不眠や神経質な人に多いタイプになります。
3.<早朝覚醒タイプ>
朝早くに目が覚めてしまって、そのまま眠れなくなってしまうタイプです。躁うつ病や高齢者に多く見られるタイプです。
4.<中途覚醒タイプ>
寝ている時に何度も目が覚め、眠れなくなってしまうタイプです。何度も目が覚めてしまうので充分に寝た気がしないというタイプです。
不眠症の症状とは?
不眠と身体の不調には密接な関係があり、不眠から起きる体調不良には次の様なものが挙げられます。
動悸、息切れ、体重減少、頭痛、めまい、胃腸不良、腰痛、肩こり、慢性疲労 また精神的にもイライラや落ち込みを持つことが多く、うつ病と診断される可能性も高くなってきています。
このように心身ともに健康な状態を保つためにも、不眠を解消することが大切なのです。

まず、不眠はいづれは治り永久に続くものではないということを認識しましょう。確かに様々な身体に悪影響を及ぼしますが、逆に不眠症であること自体を悩みすぎて逆に不眠になってしまわないようにすることも心がけることです。
不眠を解決するには、生活面での工夫をして解消していく方法と、医師の治療とがあります。もちろん治療とあわせて生活面での工夫をしていくことは大切になってきます。
まず、生活面での工夫としては眠りやすい環境をつくることを心がけましょう。原因となっている騒音や温度調整、明るさの調整をすることは大切です。
また、ストレスからくるイライラや緊張を鎮めるために音楽や読書、入浴や食事などで工夫をしてみることも必要です。眠りやすいリラックスできる環境をつくるように心がけましょう。
生活面での改善をしても続くようであれば、医師に相談することが必要です。
医師による不眠症治療では精神的な療法を行っていったり、薬による治療を行うことになります。一般的には睡眠薬による治療ですが、人それぞれ原因やタイプも違ってきますから薬の摂取については医師に相談しながら不眠症治療を進めていくことが大切です。
不眠症のまとめ
■ ①不眠症は治療可能であり、朝、一定の時刻に起床するなど規則正しい生活をを心がけることや日中、光を浴びて運動するなどの睡眠衛生に注意する。
■ ②睡眠薬は医師の指示通り正しく、使用すれば怖くないので不安になる必要はない。
■ ③睡眠薬服用後は、眠気が出現しなくても15分以内に入床する。
■ ④アルコールは深い睡眠を妨げるので結局、十分には眠れない。そのため、睡眠薬代わりにアルコールは飲まないようにする。