2016年8月号 『漢方について詳しく知ろう②』

漢方について詳しく知ろう②

今月は、女性の諸症状に効果のある漢方薬についての話題です。
女性は、一生のうちに、初潮、妊娠、出産、閉経とさまざまな体の変化が生じます。
そんな変化の過程で生じる様々な症状に漢方は効果的と言われています。

漢方薬には以下のような得意な分野(症状)があります。
① 冷え性、肩こりなど、西洋医学では病気と認められないもの
② 一時的によくなるが再発を繰り返す症状(頭痛、生理痛、不眠など)
③ 検査値は正常になっても、症状として残るもの(更年期障害、むくみなど)
④ 体質改善
⑤ 体力低下
⑥ 妊娠期の症状

以上をみても、女性特有の症状が多いのがわかりますね。

ここで、よく処方される漢方薬を3つ紹介します。

当帰芍薬散 (トウキシャクヤクサン) 
虚弱体質の女性によく使われる代表的な漢方薬です。
血の巡りをよくし、体を温めます。
貧血、体のだるさ、更年期障害(頭痛、めまい、肩こりなど)、むくみ、月経異常、不妊症、冷え性などの諸症状に効果があります。
また、妊娠中のつわりや、おなかの張りを和らげる薬としてもよく使われます。
成分
川きゅう(センキュウ) 当帰(トウキ) 芍薬(シャクヤク) 蒼朮(ソウジュツ)
沢瀉(タクシャ) 茯苓(ブクリョウ)

 

★加味逍遥散 (カミショウヨウサン)
疲れやすく、上半身ののぼせがあり、イライラしやすい精神不安の人によく使われます。
自律神経失調症、月経異常、更年期障害、不眠症、イライラなどに効果があります。
成分
柴胡(サイコ) 芍薬(シャクヤク) 蒼朮(ソウジュツ) 当帰(トウキ)
茯苓(ブクリョウ) 山梔子(サンシシ) 牡丹皮(ボタンピ) 甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ) 薄荷(ハッカ)

 

★温経湯 (ウンケイトウ) 
唇が乾燥し、下腹が冷えて、貧血気味の方に使われます。
乾燥を潤しながら、体(特に下半身)を温める作用が強いことからこの名がつけられました。
成分
麦門冬(バクモンドウ) 半夏(ハンゲ) 当帰(トウキ) 甘草(カンゾウ)
桂皮(ケイヒ) 芍薬(シャクヤク) 川きゅう(センキュウ) 人参(ニンジン)
牡丹皮(ボタンピ) 呉茱萸(ゴシュユ) 生姜(ショウキョウ) 阿膠(アキョウ)

 

漢方薬を服用する際の、服用方法、お薬の飲み合わせなど、
気になる点がございましたら、当薬局薬剤師までお気軽にご相談ください。       

参考文献:図解 漢方処方のトリセツ 株式会社じほう