2017年12月号『ヒートショックにご注意を!!』

この寒い時期になるとニュースでも取り上げられることが多い「ヒートショック」という言葉をご存知でしょうか。ヒートショックとは、急激な温度差による肉体的ショック症状のことです。寒い冬場の入浴中の事故死が多く、1年間に交通事故の5倍近い死者が発生していると言われているほどです。
 誰にでも起こり得るヒートショックについて詳しく知り、予防・対策をしっかり行いましょう!

●入浴時に注意!
冬場、寒い脱衣所で服を脱いで裸になり、冷え切った浴室に入ると血管がびっくりして縮み、血圧が急激に上がります。その状態で熱いお湯に浸かれば、さらに血圧が急上昇。しかし体が温まることで血管は広がりだし、今度は逆に血圧が下がってしまいます。このような血圧の乱高下が心臓に大きな負担をかけて、ヒートショックを招きます。ヒートショックにより心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中・不整脈が起きて突然死したり、溺死、失神による転倒からの死亡例もあるようです。
「脱衣所の寒さ」と「お風呂の熱さ」、およそ10度以上の差があるといけないと医学的に考えられているので、室温計や湯温計を設置しておいて、確認しながら入浴するとヒートショックのリスクを減らすことができます。

●特に注意すべき人の特徴
ヒートショックは体の弱い高齢者に最も多く見られる症状なので、一般的に65歳以上の男女はどれだけ健康に自信があったとしても入浴時には注意が必要です。特に熱いお湯が好きな傾向にある方は、温度を見直しましょう。
 心配なのは高齢者だけではありません。糖尿病や高血圧等の成人病の持病がある人、コレステロール値が高くメタボリック症候群あるいはその予備軍の人なども、急激な血圧の変化でヒートショックになってしまう危険があります。中高年の男性はそれらの健康状態であることが多い上、晩酌の後お風呂に入ってしまうことも珍しくありません。そうなると、余計にリスクが上がってしまい危険です。

●お風呂でのヒートショック防止策
・脱衣所を暖房で暖める
脱衣場にファンヒーター等の暖房器具を設置しておくと、裸になったとき急激な寒さを感じることもなく、血圧が異変をきたすリスクが下がります。
・湯船のフタを開けておく
いきなり浴室に入るのではなく、入浴の5分程前から浴槽のフタを開けておくようにしましょう。そうするだけで湯気が上がるので浴室全体が暖かくなり、ヒートショックが起こりにくくなります。また、浴槽のお湯も若干下がるので、体がびっくりしません。
・シャワーでお湯をはる
湯船のフタをあけておくのと同様の理由から、お風呂のお湯をシャワーで張るのは大変効果的です。浴室が蒸気で温まる上、湯船の温度も程良くなります。
・湯温41℃以下
室内や脱衣所とお風呂の温度差が10℃以上開くとヒートショックのリスクが高まるため、湯温は41℃以下に設定してはるようにしましょう。一般的に41℃なら、10℃以上開く危険が少なくなります。
・夕食前に入浴する
夕食前に入浴することで、比較的まだ体の生理機能が疲れていない状態でお風呂に入れます。加えて、食事をすることで血圧が下がりやすくなるため、食事をとる前に入浴するのがヒートショック対策には効果的です。
・高齢者には一番風呂をすすめない
一番風呂は浴室が冷え切っています。お湯も入れたてで、熱いですよね。2番風呂以降ならば浴室は温まっていますし、良い湯加減になっているでしょう。

●最後に
高齢者に多いヒートショックですが、誰にでも起こり得る症状でもあります。
家族全員でヒートショックに注意しましょう。