2018年11月号『過敏性腸症候群について』

過敏性腸症候群について

●過敏性腸症候群とは? 過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、原因となる器質的疾患(大腸がんなどの悪性疾患や炎症性腸疾患)、全身性、代謝性疾患(甲状腺機能異常症や糖尿病性神経障害、寄生虫感染など)がないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛などが起きる疾患です。 便の性状により以下の4つに分類されます。便秘型⇒硬便・コロコロ便が多い、女性に多い下痢型⇒泥状便・水様便が多い、男性に多い混合型⇒硬便・コロコロ便と泥状便・水様便の両方を繰り返す分類不能型⇒上記の3分類に当てはまらない

●過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、原因となる器質的疾患(大腸がんなどの悪性疾患や炎症性腸疾患)、全身性、代謝性疾患(甲状腺機能異常症や糖尿病性神経障害、寄生虫感染など)がないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛などが起きる疾患です。
便の性状により以下の4つに分類されます。

  1. 便秘型⇒硬便・コロコロ便が多い、女性に多い
  2. 下痢型⇒泥状便・水様便が多い、男性に多い
  3. 混合型⇒硬便・コロコロ便と泥状便・水様便の両方を繰り返す
  4. 分類不能型⇒上記の3分類に当てはまらない

参考までに医療の世界で使用されている診断基準を示します。
IBSの診断基準(ローマⅢ基準)
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起 こり、下記の2項目以上の特徴を示す。
1)排便によって症状がやわらぐ
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

●なぜIBSになるの?
腸(小腸や大腸)は食べ物を消化・吸収するだけでなく、不要なものを便として体の外に排泄してくれます。そのためには、食べ物を肛門方向に移動させるための腸の収縮運動と腸の変化を感じとる知覚機能が必要です。運動や知覚は脳と腸の間の情報交換により制御されています。ストレスなどの要因によって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。この状態が強いことがIBSの特徴です。IBSは、ストレス以外にも感染性腸炎、食物への過敏性、腸内細菌叢の量的・質的変化や遺伝的要因と関連があるとされていますが、明確な原因はわかっていません。

●薬物治療  まずは、生活習慣の改善やストレスの軽減を図りますが、改善されない場合、薬物治療を行っていきます。初期としては、下痢にも便秘にも効果がある、便の水分バランスをコントロールするポリカルボフィルカルシム(コロネル®、ポリフル®)や消化管機能調節薬であるトリメブチン(セレキノン®)が用いられます。これらの効果が乏しかった場合、症状に応じた治療薬が用いられます。

●薬物治療
 まずは、生活習慣の改善やストレスの軽減を図りますが、改善されない場合、薬物治療を行っていきます。初期としては、下痢にも便秘にも効果がある、便の水分バランスをコントロールするポリカルボフィルカルシム(コロネル®、ポリフル®)や消化管機能調節薬であるトリメブチン(セレキノン®)が用いられます。これらの効果が乏しかった場合、症状に応じた治療薬が用いられます。

★下痢型IBSの治療薬 ラモセトロン(イリボー®)
2008年に発売されました。腸管運動を抑制することで、下痢を改善するとともに腹痛も改善します。副作用の便秘が女性に現れやすいという報告があったため、当初は男性の下痢型IBSにのみ適応でしたが、2015年から男性の半量で女性にも適応が広がりました。

★便秘型IBSの治療薬リナクロチド(リンゼス®)
2017年に発売された新しい薬です。腸管内の水分分泌を促進することで便秘を改善するとともに、腹痛も改善します。食後服用だと下痢になりやすいため、食前服用です。男性と女性で用量は変わりません。2018年8月には、IBSだけでなく、慢性便秘症(器質的疾患を除く便秘症)に適応が拡大しています。

IBSは命にかかわる病気ではありませんが、突然起こる腹痛や下痢、腹部の不快感などにより、生活の質を低下させます。このような症状がある方は、早めに受診をしましょう。