2019年8月号『腎性貧血とは』
- 貧血とは
貧血は、さまざまな原因で血液中の赤血球が減り、体に必要な酸素が十分に行き届かなくなった状態で、数種類あります。
共通した貧血症状として、「疲れやすい」「動悸・息切れ」「めまい」「顔色が悪くなる」があります。
血液中のヘモグロビン濃度が以下の場合、貧血の可能性があります。
成人男性:13.5 g/dL以下成人女性:11.5 g/dL以下
腎性貧血とは
腎臓病が原因になって起きる貧血を「腎性貧血」と言います。
腎臓はさまざまなホルモンを分泌しています。そのひとつに、骨髄赤血球をつくるはたらきを促進するエリスロポエチン(EPO)というホルモンがあります。腎臓のはたらきが低下すると腎臓からのEPOの分泌が減り、赤血球をつくる能力が低下することで貧血になります。
●治療
貧血には、体の鉄が不足してヘモグロビンの産生が不十分になることでおこる「鉄欠乏性貧血」がありますが、「腎性貧血」とは原因が異なり、治療方法も違います。よく貧血は鉄を補給すればよいといわれますが、腎性貧血は鉄剤だけを補給しても改善しません。
腎性貧血には、EPOの分泌不足を補うために赤血球造血刺激因子製剤(エポエチン®、エポジン®、ミルセラ®)による薬物治療が行われます。また、あわせて食事療法や、鉄剤の投与も行われます。治療目標値は、個人差がありますが、ヘモグロビン11~13g/dLです。
腎性貧血は腎臓病を悪化させ、心臓にも悪影響を与えることが知られています。
腎性貧血はゆっくりと進むため、症状に体が慣れてしまい、自覚することがむずかしい貧血です。少しでも気になることがあったら、腎臓の機能と貧血の有無を検査で調べることが大切です。
参照:https://jin-lib.jp/disease/ld/anemia.html