2019年11月号 『インフルエンザワクチンについて』
・インフルエンザワクチンとは?
インフルエンザワクチンは、「不活化ワクチン」に属します。ウイルスの活性を失わせて、免疫を作るのに必要な成分を取りだし、病原性をなくしたワクチンです。それ自体を接種してもインフルエンザを発症しません。
毒性をなくした病原体を体内にいれることで、その病原体に抵抗する力を前もってつけておくことができます。そのため、その病原体が起こす病気にかかりにくくなったり、かかっても軽く済んだりするのです。
・4価ワクチンとは?
現在、インフルエンザワクチンには4種類の病原体が入っていますが、以前は3種類でした。3種類の病原体はA型2種類(H1N1, H3N2)とB型1種類(山形系統、ビクトリア系統のいずれか)で、B型の病原体のうちどちらかを入れるかは、その年の流行を予測して決められていました。しかし、近年はどちらの病原体も流行することが多くなり、2015-2016シーズンからはB型も2種類入ることになり、A型と合わせて4種類のワクチンになりました。
・接種回数について
接種回数は年齢に応じて以下になります。
・6か月未満→接種不可
・生後6か月~3歳未満→0.25mLを2回接種
・3歳~13歳未満→0.5mLを2回接種
・13歳以上の方(大人を含む)→0.5mLを1回接種
(2回接種する場合は、通常、1~4週間隔で接種可能だが、免疫効果を考慮すると、生後6か月~13歳未満の方は2~4週間が望ましい)
・定期接種について
インフルエンザにかかると重症化しやすく、特に接種の意義が大きい以下の方は、定期予防接種の対象となっています。かかりつけ医にご相談ください。
・65歳以上
・60-64歳で、心臓や腎臓、呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活を極度に制限される方
・60-64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に障害があり日常生活がほとんど不可能な方
・副反応について
接種部位の痛み、頭痛、鼻水、疲労感、微熱などの副反応がみられることがあります。
注射した部位が赤く腫れて、さわると熱くなったり、かゆくなったりした場合は保冷剤や氷で、しっかりと冷やしましょう。また、熱が出た場合は、首の後ろ、わきの下、股のつけねを保冷剤や氷で、しっかりと冷やしましょう。症状がおさまらない場合には病院に受診しましょう。
・最後に
現在国内で用いられているインフルエンザワクチンは、感染を完全に阻止する効果はありませんが、発症を一定程度予防することや、発症後の重症化や死亡の予防には一定の効果があるとされます。まだ予防接種をされていない方は、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。