2019年11月19日 2019年12月号 『腎臓病と骨粗鬆症』 ・腎臓病と骨粗鬆症 〈腎臓が弱くなると、骨も弱くなる??~カルシウム、ビタミンD、リン、PTH~〉骨の材料となるカルシウムは、腸管で吸収され血液によって骨に運ばれます。カルシウムを腸管で吸収するにはビタミンDが必要になりますが、そのビタミンDはそのままの状態では働いてくれません。腎臓でビタミンDが活性化され、活性型ビタミンDに変わることで、腸管からカルシウムを効率よく吸収できるようになります。 慢性腎臓病で腎臓の機能が低下すると、ビタミンDの活性化がスムーズに行われず、食事でカルシウムを摂っても吸収がうまくできなくなり、血液中のカルシウム濃度が低下します。一方、慢性腎臓病で腎臓の機能が低下すると、尿中へのリンの排泄機能が低下するため血液中のリン濃度が上昇します。そのため、カルシウムとリン濃度の異常を調節するために、副甲状腺ホルモン(PTH)が増加します。PTHは骨から血液中へとカルシウムを移動させる働きを持つため、PTHが増え続けると骨からカルシウムが溶け出て補おうとするので、骨は次第に弱くなってしまいます。 〈慢性腎臓病の人は骨折に注意!〉 慢性腎臓病の人は、腎臓が悪くない人に比べ骨折リスクが高くなります。背骨の骨折は約1.3倍、太ももの付け根の骨折は約1.6倍、手首の骨折は約1.8倍リスクが高くなると報告されています。健診などで腎機能の低下を指摘された場合は、骨密度の検査をしてみましょう。