2020年1月号 薬物乱用頭痛について~薬剤使用過多による頭痛~

薬物乱用頭痛とは?

頭痛がするからと言って、毎日市販の頭痛薬を飲んだりしていませんか?

頭痛が起こりそうになるたびに頻繁に鎮痛薬を服用すると、かえって頭痛が起こりやすくなります。この状態を「薬物乱用頭痛」といいます。

市販の鎮痛薬を1カ月に15日以上(薬にカフェインが含まれている場合は10日以上)飲んでいる場合は、薬物乱用頭痛の疑いがあります。

薬物乱用頭痛は疑い例も含めると約1%と言われており、頭痛の中では緊張型頭痛、片頭痛に次いで3番目に多い疾患です。頭痛を主訴に神経内科を受診する患者の 5~10%が該当するとの報告もあり、頭痛外来においてはその数はさらに多いと言われています。

乱用の原因となる薬物は、NSAIDs等の鎮痛薬、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤などが挙げられます。最も多いのは市販の鎮痛薬を乱用しているケースですが、近年はトリプタン製剤の処方が増えていることに伴い、トリプタンによる発症も報告されています。

 

 

なぜ起こるのか?

 

ひどい頭痛を経験すると、頭痛発作への不安から鎮痛薬を予防的に服用するようになり、飲む回数や量が増えていきます。すると次第に、脳が痛みに敏感になり、頭痛の回数が増え、薬も効きにくくなってくるという悪循環に陥ってしまうのです。

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薬物乱用にならないようにするために

薬物乱用頭痛は一度なってしまうと比較的再発しやすく、患者の意識改革や忍耐が必要となります。薬物乱用頭痛にならないためにも、日頃から頭痛薬を飲み過ぎないことが重要です。使用回数を守り、月10日未満にとどめましょう。もし市販薬を飲んでも症状が改善されない場合や、悪化した場合、服用を直ちに止め、すみやかに専門医の診断を受けましょう。

 

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【参照】

https://www.sukkirin.com/therapy/overuse.html

https://medical.eisai.jp/products/maxalt/guidance/treatment05.html

https://medical.eisai.jp/products/maxalt/guidance/treatment05.html