2020年9月・10月特別号 新人薬剤師のお仕事奮闘記

【新人薬剤師のお仕事奮闘記】

初めまして。この4月から東海道薬局に勤務させていただいている、新米薬剤師です。
これまで薬とは無関係の仕事をしており、薬剤師のお仕事を日々研修させていただく中で、薬剤師の仕事の大切さ、大変さを実感しています。
そこで今回新人薬剤師が薬局の仕事を紹介させていただくとともに、皆様に薬剤師をもっと身近に感じていただきたいなと思っております。
薬局薬剤師の仕事を簡単にいうと、
『処方せんによる調剤、薬の飲み合わせのチェック、薬の正しい使い方の指導など』です。

【処方箋の調剤】・・・医師が発行する処方箋にどおりに薬を準備する

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そんなの簡単だ、と思うかもしれませんが、薬局の奥、「調剤室」をのぞいて見てください。

東海道薬局の調剤室には約1000種類もの薬が置かれています。
このような多くの薬の中から医師が処方した薬を間違えずに探し出さなければなりません。
中でも、同じ成分なのに先発薬と後発薬(ジェネリック)の区別をしなければならないことが、今の私の課題です。(先発薬と後発薬については※をご覧ください)

あとは、たくさんの薬を飲まれる患者様に、飲み忘れや飲み間違えをしないように、朝・昼・夕食後1回分ずつ袋に入れる作業(一包化)もあります。
袋詰めは機械がやってくれるのですが、薬を仕分けするのは手作業なので、間違えの無いように2重チェックを行います。
その他、軟膏を均一に混ぜて薬壺に入れる、シロップを混合する、粉薬を量って袋詰めする、中には錠剤が飲めない患者様の為に錠剤を粉砕して袋詰めする作業等、覚えることがいっぱいです。
こういった作業の必要性はやはり、いかに安全に、正確に、患者様にお薬を渡せるか、さらに、飲みやすくすることで継続して薬を飲んでいただき、健康を維持していただけるかを考えた作業であり、常にそのことを念頭に置いてお仕事をさせていただきたいと思っています。

【調剤監査】・・・調剤したお薬をチェック(監査)する

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①調剤したお薬が処方箋と間違いがないかを監査

前述したように、医師が処方した通りに薬を集め、患者様にお渡しするのが薬剤師の役割なのですが、やはり人がすることなので、全てが完ぺきというわけではありません。
東海道薬局では調剤してから患者様にお薬を渡すまでに以下のようなチェックをしています。
・機械(監査機)を通してチェック
・処方せん、調剤録、実際のお薬を見て、種類、数が違っていないかチェック
・投薬者(お薬を患者さんに渡す薬剤師)が最終チェック
・投薬者が患者さんの前で薬の種類、数を確認しながら薬袋に入れる
このように、何重ものチェックをしてお薬を患者様にお渡ししています。
当局で薬を受け取るとき、最初から袋に入れておいてくれれば良いのに、と思われる方もいらっしゃるかとも思いますが、実は患者さんの目もお借りしてチェックをさせていただいているのです。

②調剤したお薬の飲み合わせに問題がないかを監査
先日,内科医で血圧のお薬と胃のお薬を処方された患者様がいらっしゃいました。
この患者様は以前、整形外科を受診し痛み止めと胃のお薬を処方されていました。
んっ?と思い、薬歴(患者様にお薬を渡した記録)を調べたところ、この患者様は総合診療科でも貧血のお薬と胃のお薬を処方されていました。
それぞれの病院での処方は良くある事なのですが、結果的にこの患者様は3種類の胃薬を同時に飲む事になっていたのです!!
すぐに3人の先生に疑義照会(薬剤師が処方箋を元に調剤を行う際、処方箋の記載に疑問点や不明点を感じた場合に処方箋の作成者に対して内容の確認を行うこと)をし、
胃薬を1つにすることになりました。
某テレビドラマで「薬剤師は医者の言いなり、奴隷」でも「薬剤師は患者の命を守る最後の砦」と言っていましたが、何となくわかる気がしました。
この事例は、運良くこの患者様が3人の医師からの処方せんを全て当局にお持ちいただいたから気づけた事例です。「命を守る最後の砦」になるためには多くの情報が必要です。
受診の際やお薬をお求めの際には,お薬手帳をご持参いただきますようよろしくお願いいたします。

【投薬】・・・調剤、監査されたお薬を、患者さんにお渡しする

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患者様は調剤薬局で医師が処方したお薬をもらいます。

そこで薬剤師は、どういうお薬がどうして必要なのか、どうやって服用するのか、患者様に正確にお伝えするという責任があります。
そのためには、薬剤師も患者様の状態を知る必要がありますので、投薬時にいろいろお話をさせていただくことになります。
たまには世間話をする中から患者さんの生活や体調をうかがうこともあります。患者様にお薬を渡せば薬剤師のお仕事はおしまい・・・ではありません。
投薬時に得た患者様の情報を記録に残す仕事があります。
患者様の状態、薬の効き具合や副作用の有無、次回に患者様が来局いただいたときに
確認する事項等をまとめるのですが、これが結構大変なのです。
しかしこの情報が積みあがることによって、より患者様の状態を把握でき、適切なアドバイスができるのだと考えております。
さて、つらつらと薬局薬剤師のお仕事を並べましたが、もちろん仕事はこれだけではありません。お薬の在庫管理・品質管理、患者様に気持ちよく来局していただけるような、接客マナーや店舗管理等々・・・。
まだまだ研修しなければいけないことはたくさんあります。一つ一つクリアしていきながら、地域の皆様に信頼していただける薬剤師、薬局として胸を張れるよう研鑽していきますので、応援よろしくお願いいたします。

※先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)の違いとは

●先発医薬品(新薬)は、長い研究開発期間をかけ臨床試験(治験)を経て新しい成分の有効性や安全性が確認されたのちに国の承認を受けて発売される医薬品です。

●ジェネリック医薬品は、正式には「後発医薬品」と呼ばれ、特許存続期間の終了した新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を使って作られた医薬品です。研究開発に要する費用が低く抑えられることから、薬価も安く設定されています。

後発医薬品は、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含有しており、効能・効果や用法・用量も基本的には変わりません。
(ただし、先発医薬品とまったく同じであるわけではなく、たとえば、異なる添加剤を使用して後発医薬品が製造されることもあります。もちろんこの場合、有効性や安全性に違いが出ることがないよう確認されています。)