2020年12月号「お薬飲み忘れちゃった! ま、いいかっ!」ほんとうに大丈夫?
疲れていたり、外出先だったりして、つい薬を飲み忘れてしまう、というお話をよく聞きます。
これって大丈夫なのでしょうか?
まず、みなさんが服用している薬の行方について考えてみましょう。消化剤や整腸剤などの胃や腸の中ではたらく薬は別として、多くの飲み薬は主に小腸から吸収され、血液の流れにのって全身をめぐり病気を治すために必要な場所へ届けられます。また私たちの体の中には、外から入ってきた異物(薬も)をできるだけ早く処理し、体の外に出そうというはたらきがあり、このはたらきにより体外に捨てられます。この役割をしているのが主に腎臓と肝臓なので、薬によっては腎臓や肝臓に負担がかかるものがあります。
◯次に薬の効き目についてです。
薬の効き目は、右図のように、血液中の薬の濃度であらわされます。薬が効き目を表すためには血中濃度が有効な濃度に保たれていなければなりません。また血中濃度が高すぎれば、効き目が強く出すぎたり、副作用が強く現れたりする危険があります。また、薬を体の外へ出そうとする作用には個人差があることや、他の薬や食品の影響を受けることによって、血中濃度が上がって効き目が強く出ること、反対に血中濃度が下がって効き目が弱まってしまうこともあります。
薬の量は、使われる方の年齢、腎臓や肝臓の生理機能、体格、効果に影響する他の薬・食品を摂取されていないかどうかを確認しながら、患者さん一人一人に合わせて決められています。自分にとっては副作用の少ない良い薬であっても、他の患者さんにとってはそうであるとは限りません。
「薬の飲み忘れはだいじょうぶ?」結論を言うとだいじょうぶではありません!薬は用法、用量を守って、正しく服用することが大切です。
飲み忘れをなくすために、カレンダーや手帳にメモする、ピルケースを使う、お薬カレンダー(本薬局でも販売していますが、実は100円ショップにも置いてあるのを見つけてしまいました笑)を活用するなどの工夫をしてみたらいかがでしょうか?
それでも飲み忘れてしまったら・・・ 気づいたときに多めの水で飲む、次に飲む時間が近かったら一度飛ばして服用する、などの方法が考えられます。(ただし薬によっては、必ず食後に飲まなければいけないなど、飲む条件を守らなければいけないものがあります。詳細は医師、薬剤師にご相談ください。)。
飲んだか飲まななかったのか自信がない時は、一度飛ばしたほうが安全です。一度に2回分を飲むのは絶対にダメです!!
もう一度お願いします。
薬は用法、用量を守って正しく服用しましょう。