2022年4月号 芍薬と牡丹
芍薬と牡丹
緑があおあおとして、色とりどりの花が咲き乱れ、私たちの目を楽しませてくれる季節になりました。その中で、4~5月には牡丹、5~6月には芍薬が大輪の美しい花を咲かせ、見る者を魅了します。その一方で、古くから漢方の原料としても使用されていることをご存知でしょうか?
生薬としての芍薬と牡丹
★芍薬を漢方の原料として使用する場合、芍薬の根の部分を使います。
筋肉の緊張を緩和して痙攣・痛みを除いたり、月経不順・生理痛を治したり、血流を改善したりする作用があります。
芍薬甘草湯、葛根湯、桂枝茯苓丸、加味逍遙散などに配合されています。
★牡丹を漢方の原料として使用する場合、牡丹皮(ボタンピ)という牡丹の根皮を使います。
体内の余分な熱を取り除いて更年期のホットフラッシュ(火照りやのぼせ)を改善したり、生理痛・頭痛などの痛みを抑制したり、血流を改善したりする作用があります。
八味地黄丸、温経湯、桂枝茯苓丸、加味逍遙散などに配合されています。
「立てば芍薬、座れば牡丹」の所以
①女性の美しい所作や容姿にたとえて表現しています。
芍薬:細くすらっと伸びた茎の先端に美しい花を咲かせることから、女性の美しい立ち姿を表現
牡丹:枝分かれした横向きの枝に花をつけることから、女性が優雅に座っている姿を表現
②生薬(漢方の原料)としての使い方を表しているという説もあります。
芍薬:イライラと気が立って落ち着きがない女性には、鎮静鎮痛の働きがある芍薬の入った薬が適している
牡丹:座ってばかりいて血の巡りが悪くなっている女性には、血流を改善する働きがある牡丹の入った薬が適している
∻∻∻芍薬・牡丹の花を見る時には、花の美しさだけでなく、地下に秘められている根が
薬用として役立っていることにも思い巡らせていただければ、と思います。∻∻∻